禅語「主人公」
建長寺管長 栢樹庵書
二段表具筋取り
表具裂 節ナナコ手描き斑(むら)立て
軸先 水晶代用
瑞巌(ずいがん)和尚、毎日自ら主人公と喚(よ)び、復(ま)た自ら応諾(おうだく)す。及ち云く「惺惺着(せいせいじゃく)や、喏(だく)。他時異日、人の瞞(まん)を受くること莫れ、喏喏(だくだく)」(『無門関』第十二則)
この「主人公」とはあるべき私であって、何ものにもとらわれていないときが最も能力が発揮できる状態であると言われています。こだわりを持つことは、そこに「居着く」ことであり、不自由な状態なんだと。
軸先に透明である水晶代用を用いたのは、「とらわれのない自己」の透明性と対応させようとしたからです。